日本の銀行決済APIの概要
クレジットカードやQRコード決済と並び、銀行振込・口座振替は日本で広く使われている決済手段です。特にBtoB決済・高額商品・定期購入・公共料金など、さまざまなシーンで活用されています。近年はAPIを通じて銀行機能をプログラムから操作できる「Banking API」が普及し、業務の自動化が進んでいます。
銀行振込の仕組み
日本の銀行振込は全国銀行データ通信システム(全銀システム)を通じて処理されます。全銀システムは平日の一定時間内での処理が原則でしたが、2023年より24時間365日の即時振込が対応銀行間で可能になりました(モアタイムシステム)。
ECサイトで銀行振込決済を提供する一般的な方法は、決済代行会社(GMO-PG・ペイジェント等)のバーチャル口座サービスを使うことです。
バーチャル口座(仮想口座)の活用
バーチャル口座とは、注文や顧客ごとに一意の振込先口座番号を発行する仕組みです。従来の銀行振込では複数の入金を手動で照合する「入金消込」が必要でしたが、バーチャル口座では口座番号から自動的に振込主と注文を紐づけられます。
バーチャル口座のメリット
- 入金消込の自動化:手動作業の削減と誤照合の防止
- リアルタイム入金通知:入金をAPIやWebhookで即時検知
- 未払い管理の効率化:期限切れの口座番号を自動無効化
Stripe・GMO-PG・ペイジェント・AmazonPayなどの決済代行サービスがバーチャル口座機能を提供しています。Stripeの日本では「銀行振込」機能としてバーチャル口座発行APIが利用できます。
口座振替(自動引落し)の実装
口座振替はユーザーの銀行口座から定期的に自動引き落としを行う仕組みです。サブスクリプションサービス・家賃・保険料・月謝などに適しています。
口座振替の導入方法
- 口座振替代行サービス経由:GMO Payment Gateway・NTTデータなどの代行サービスを使う。自社で全銀システムに接続するよりコストが低い
- 全銀EDIシステム直接接続:大手企業向け。高い初期投資が必要だが自由度が高い
口座振替の手続きはユーザーの銀行口座情報と引落し同意が必要で、紙の申込書またはデジタル申込(Web口振受付サービス)で収集します。
GMO Aozora Net銀行API
GMO Aozora Net銀行は、FinTech企業向けに銀行機能をAPIとして提供しています。プログラムから口座の開設・残高照会・入出金明細取得・振込実行などが可能で、プラットフォームビジネスや資金管理の自動化に活用されています。
利用可能な主なAPI機能:
- 残高・入出金明細の照会
- 振込実行(国内)
- 口座開設(法人・個人)
- バーチャル口座の発行・管理
- 振込入金の通知(Webhook)
Pay-easy(ペイジー)
Pay-easyは税金・公共料金・各種料金をATMやインターネットバンキングから支払える決済サービスです。公共料金・税金収納に多く使われており、ECサイトにも導入できます。銀行・コンビニのATMからも支払え、クレジットカードを持たないユーザーをカバーできます。
オープンバンキングAPIの動向
金融庁の方針に基づき、日本でも銀行がオープンAPIを通じて口座情報や振込機能を外部サービスに開放するオープンバンキングが進んでいます。各銀行のAPIポータルで接続申請が可能な場合があります。MoneytreeやマネーフォワードなどのPFMサービスがオープンバンキングAPIを活用しています。
セキュリティと法規制
銀行APIを使ったサービスを構築する際は、資金移動業・電子決済等代行業の登録が必要な場合があります。口座情報の取り扱いには個人情報保護法と金融機関との契約上の義務があります。セキュリティ面では通信の暗号化・アクセス制御・監査ログの整備が必須です。
まとめ
銀行振込・口座振替はカード非保有ユーザーへのリーチや高額決済・B2B取引で重要な役割を果たします。バーチャル口座で入金消込を自動化し、口座振替代行サービスでサブスクリプション課金を実現することで、決済業務の大幅な効率化が可能です。オープンバンキングの普及により、今後ますます銀行機能のAPI活用が広がることが期待されます。